関西理学療法学会 症例研究学術大会

大会長挨拶

第24回関西理学療法学会症例研究学術大会
大会長 井尻 朋人
喜馬病院

 関西理学療法学会の症例研究学術大会も24回目を迎え、歴史のある学術大会になってきました。症例発表のみを取り扱って、また同じコンセプトを持ち続けながら継続して開催されている学術大会は全国を見ても例が多くありません。また、全演題に対して採点により順位がつく、という学術大会も珍しいものです。すなわち本学術大会は、良いものが何かということを明確にしながら、継続性をもって発展してきた学術大会ということになります。
 このスタイルの影響で、毎年の発表内容がブラッシュアップされ洗練されてきていることを私個人的に感じております。発表内容については、なるべく客観的に論理的に筋の通った誰しもが納得できる評価の流れを構築する努力がなされ、またそれに対しての治療効果がどうであったかをわかりやすく検証する姿勢がみられています。セラピストとしては、論理的に考えて根拠を明確にしながら評価や治療を行っていくことは非常に重要なスキルであり、まさにその能力を高める機会になっていると感じるところです。また内容だけでなく、プレゼンについても年々その工夫が増えていると感じています。見やすいスライドとはどのようなものかや動きの変化をわかりやすく提示する工夫、プレゼンで使われる語句の検証など、細部に至るまでしっかりと準備され発表されているものが多いと感じています。他の学会発表と比べても、準備に多く時間を費やし、工夫を重ねてこられているものと確信しています。
 何が言いたいのかというと、本学術大会で発表するということはリハビリテーションの内容の面でも人に物事を伝えるという面でも、レベルの高いことを皆さんがやられているということです。歴史を重ねるにつれ、そのレベルは高くなっていると私自身は感じています。加えて、皆さんの発表一つ一つが後輩の成長の礎になり、自分自身だけでないところまで影響を与えているのだと考えています。これは発表者だけでなく、指導に携わっている先生方の尽力の賜物でもあります。発表がうまくいったかどうか、採点結果がどうであったかなどによって、成功体験になれるかどうかは変わってくるかもしれませんが、本学術大会で発表したという過程は間違いなくセラピストとしての成長を促すものであり、その一歩を踏み出しているという点においては自分自身の糧になっていることを誇りに感じてほしいと思います。
 最後になりますが、本学術大会が継続的に開催できるのも事務局を中心として準備に尽力いただいている方々のお力によるものです。毎年のご準備に対し、感謝申し上げます。