関西理学療法学会 症例研究学術大会

大会長挨拶

第25回関西理学療法学会症例研究学術大会
大会長 山本吉則
三重大学医学部附属病院

 本学会の症例研究学術大会は、皆様のご支援とご尽力により、第25回という大きな節目を迎えることができました。なかでも、本学会の運営を長年にわたり力強くお導きくださっている会長・鈴木俊明先生のご尽力と、臨床の現場で日々真摯に取り組んでこられた皆様のご努力に、心より深く感謝申し上げます。
本学会はこれまで、動作観察・動作分析を基盤とし、臨床課題と真摯に向き合いながら、理学療法の質の向上を追求してまいりました。その過程においては、臨床で得られた経験や気づきを、科学的視点と結びつけ、より客観的かつ理論的な実践へとつなげる取り組みが重ねられてきました。こうした対話と探究の積み重ねこそが、新たな視点や可能性を引き出す原動力であり、現場のなかにこそ学びの本質があると、日々実感しております。
本大会では、症例に対する「動作を捉える力」を一層深め、各関節や筋の働きを理論に基づいて精緻に評価し、治療へと結びつけていく姿勢を、これまで大切にしてまいりました。私自身も、臨床の現場で迷いながら、動作をどのように捉え、どのように共有すべきかを日々模索してきた一人です。そうした試行錯誤の延長線上にこそ、本学会の意義があると感じています。
発表される皆様には、上司や同僚とともに症例に真摯に向き合われたご経験を、どうか誇りとして胸に刻んでいただければ幸いです。その取り組みは、ご自身の成長にとどまらず、所属施設や関係者の学びにもつながり、本学会の進化を支える確かな一歩となるはずです。本大会は、これまでの24回にわたって積み重ねられてきた歴史と理論の蓄積の上に成り立っています。今回の発表が、それらをさらに洗練させ、つぎなる進化へとつながる契機となることを願っております。
最後に、本学会の理念にご賛同くださるすべての皆様、そして大会運営に多大なるご尽力を賜っている事務局の皆様に、心より御礼申し上げます。本大会が、参加される皆様お一人おひとりにとって、臨床を見つめ直し、理学療法の未来をともに切り拓く一歩となりますことを、心より祈念いたします。